「完成車メーカー」の時代は終わるのか? 中国車市場「過去最大3143万台」の裏側とNEV急成長、加速する水平連携の実態とは

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中国の自動車市場が過去最多の3143万台に達し、NEV比率は4割超。日系含む外資は生き残りを懸け、IT連携で再編の波に挑む。勝負を分けるのは、更新速度と設計主導権だ。

協業時代の技術分水嶺

ホンダEV燁シリーズHonda GT(画像:本田技研工業)
ホンダEV燁シリーズHonda GT(画像:本田技研工業)

 自動車産業はいま、製造主導のモデルから、設計・運用・更新を通じた技術環境の動的な運用モデルへと移行している。2025年の中国市場は3290万台に達し、そのうちNEVは1600万台と見込まれている。

 しかし、量的成長だけでは産業の将来像は測れない。市場における価値判断の重心は、ハードウェア性能からアーキテクチャ設計とUX(ユーザー体験)の継続的更新力へと移っている。

 こうした環境下では、企業間の連携は生存手段のひとつである。ただし、それが目的化すれば競争力を損なうリスクがある。とくに厄介なのは、協業の名の下で、自社が本来保持すべき技術基盤や意思決定権を他社に移譲してしまう状況だ。

 現在求められているのは、自立性を保ちながら外部資源を活用できる仕組みである。その前提として、交換可能性や代替可能性に基づく制度設計が必要になる。

 標準技術の導入は市場浸透を加速させる反面、製品の同質化を招く。それでも企業がこの選択を避けられないのは、市場がすでに均質化された利便性を最低条件として求める段階に達しているからだ。この条件を満たせない企業は、選択肢にすら入らない。

 そのうえで企業は、設計責任を持つべき技術と、外部と共同開発できる技術とを明確に区分する必要がある。更新や維持にかかる負荷までを見据えた設計体制の構築が求められている。

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