「完成車メーカー」の時代は終わるのか? 中国車市場「過去最大3143万台」の裏側とNEV急成長、加速する水平連携の実態とは

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中国の自動車市場が過去最多の3143万台に達し、NEV比率は4割超。日系含む外資は生き残りを懸け、IT連携で再編の波に挑む。勝負を分けるのは、更新速度と設計主導権だ。

車載連携が生む成長圧力

トヨタ bZ7(画像:トヨタ自動車)
トヨタ bZ7(画像:トヨタ自動車)

 2024年後半から2025年前半にかけて、日系自動車メーカーが中国IT企業との協業を相次いで発表した。トヨタは中国専用EV「bZ7」でファーウェイの車載システム技術を採用すると報じられている。日産の合弁会社である東風日産も、同社との戦略提携を発表。ホンダも中国専用EVにファーウェイ製ディスプレーを搭載するなど、部品レベルでの連携を進めている。

 背景にあるのは、車載インフォテインメントのスマート化競争だ。中国では車載技術の進化が消費者の購買判断に直結する。音声認識、デジタルコックピット、統合エンタメシステムがすでに標準装備化しつつある。

 このスピードに、従来の自動車サプライチェーンでは対応できない。中国のIT企業はシステムを年単位で更新する一方、自動車メーカーの開発サイクルは数年単位が基本だった。この開発速度の差が、市場での競争力を左右する構図が鮮明になっている。

 外資にとって、中国の最先端技術を取り込むことは生存戦略の一部となった。ただし、協業には明確なジレンマもある。開発コストの分散や技術習得の加速といった利点がある一方、コア技術を外部に依存すれば主導権を失いかねない。依存先企業の戦略変更が直接影響を及ぼすリスクもある。独自性の喪失につながり、長期的な差別化が難しくなる懸念も残る。

 各社は短期的な市場対応と、長期戦略のバランスを模索している。

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