「完成車メーカー」の時代は終わるのか? 中国車市場「過去最大3143万台」の裏側とNEV急成長、加速する水平連携の実態とは

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中国の自動車市場が過去最多の3143万台に達し、NEV比率は4割超。日系含む外資は生き残りを懸け、IT連携で再編の波に挑む。勝負を分けるのは、更新速度と設計主導権だ。

中国発・供給網の地殻変動

中国の駐車場のEVの充電場所(画像:写真AC)
中国の駐車場のEVの充電場所(画像:写真AC)

 中国市場を起点に、自動車サプライチェーンが変容しつつある。従来は完成車メーカーが系列の部品企業を束ね、垂直統合で開発を進める構造が主流だった。しかし、車載技術の高度化により、この仕組みでは対応しきれなくなった。

 その結果、水平的連携が新たな潮流となった。自動車メーカーとIT企業、通信企業が対等な立場で協業し、業界の垣根を超えた提携が加速している。

 消費者にとっても恩恵は大きい。車載装置でスマートフォンと同等の機能が使えるようになれば、移動中の時間をより有効に使える。今後は音声操作でナビゲーション、エアコン、オーディオの制御が可能になり、自動運転技術との融合によって利便性はさらに高まる。

 部品メーカーや技術企業にも大きな波及効果が及ぶ。従来の部品メーカーは、新たな技術領域への参入を迫られている。一方、ソフトウェアやセンサー分野の企業にとっては、大きなビジネスチャンスが到来した。車載向け半導体の需要も急拡大し、競争は激化。イノベーションのスピードも加速している。

 この変化は、グローバルな自動車産業にも波及する。中国で先行する協業モデルは、他地域にも影響を及ぼす可能性が高い。ファーウェイのようなプラットフォーマーが複数の完成車メーカーに技術を提供することで、一定の技術が共通基盤として標準化されつつある。

 同時に、各メーカーは独自開発も進めており、標準化と差別化が並行する構図となっている。今、自動車産業の競争軸は国境や業界の枠を超え、新たな再編フェーズに入った。

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