「救急現場で無断撮影するな」SNSで拡散する怒りの声! なぜ野次馬のスマホ撮影が救命率低下を招くのか

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事故や災害の救急現場で無断撮影が増加し、救助活動の遅延や隊員の増員を招く深刻な事態となっている。2025年時点で法的対策は未整備。技術開発や教育による抑止策が急務だ。

法の網をすり抜ける野次馬撮影

救急車(画像:写真AC)
救急車(画像:写真AC)

 救急現場では、野次馬による無断撮影や妨害行為が救助活動に支障をきたすケースが後を絶たない。

 2019年10月、JR新宿駅で発生した人身事故では、駅員が現場をブルーシートで覆って救急活動を行った。しかし、シートの内側にスマートフォンを差し入れて撮影を試みる人が多数いた。駅員はアナウンスで撮影中止を呼びかける事態となった。

 こうした行為は、救助活動に割くべき人員を撮影防止対応に振り向けさせ、現場全体の効率を著しく下げる。結果として、傷病者の観察や応急処置、搬送などに遅れが生じるリスクがある。

 類似の事例もある。2006(平成18)年2月、外資系航空機内で乗客が心肺停止となり、居合わせた有資格の女性乗客が1時間にわたり心肺蘇生を実施し救命した。しかし、その最中に客室乗務員が協力をしなかった上、多くの乗客が無断で撮影を行った。女性乗客は精神的外傷を負い、長期にわたって社会生活に支障をきたした。

 こうした被害者や救助者への心的ケア体制は、現在に至っても整備されていない。また、野次馬撮影そのものを明確に禁止する法律や条例も存在しない。撮影が直接的な妨害や危害に該当しない限り、違法性を問うことは難しいのが実情である。

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