ステランティス「4000億円赤字」「FCV撤退」という衝撃――欧州水素戦略の見直しを迫る構造的課題とは
水素の現実が、ついに剥がれた。世界第5位の自動車グループ、ステランティスがFCV事業から撤退。4000億円超の赤字を背景に、水素インフラの遅れや市場との乖離が浮き彫りに。今、グローバル企業は水素活用の「再定義」を迫られている。
FCV撤退が示す構造問題
ステランティスのFCV事業からの撤退は、水素モビリティに対する過剰な期待と現実との乖離を改めて浮き彫りにした。市場ニーズと技術開発のギャップ、さらには制度設計の不備が絡み合い、構造的な歪みを生んでいる。水素を“どこで・どう使うか”という基本設計が、いまだに固まっていない現実がある。
今回の撤退は、FCVの終わりではない。むしろ、水素の「適材適所」な活用を再定義するタイミングが到来したといえる。今後の焦点は、
・輸送や産業用途など、水素が本来の強みを発揮できる領域への集中
・その前提となる産業政策・市場設計の迅速な立て直し
にある。グローバルに見ても、燃料電池関連事業は大きな転換点を迎えている。水素は、もしかすると“間違った場所”で使われてきたのかもしれない。いま一度原点に立ち返り、「どこで」「どう使うか」を見極めるフェーズにある。
企業がこれからどのように潮目を読み、事業ポートフォリオを再構築していくのか。その判断が、水素経済の命運を左右する。