ステランティス「4000億円赤字」「FCV撤退」という衝撃――欧州水素戦略の見直しを迫る構造的課題とは
水素車投資の縮小連

FCV関連事業の縮小や撤退が、各社で相次いでいる。
ホンダは、栃木県真岡市に2027年度の稼働を予定していた次世代燃料電池(FC)モジュール専用工場の計画を見直した。グローバルな水素市場の環境変化を受け、生産能力を引き下げ、稼働時期も延期する。年産能力は当初計画の3万基から、2万基を下回る水準に縮小する見通しだ。
一方、ホンダは米GMとの合弁会社「Fuel Cell System Manufacturing(FCSM)」で共同開発したFCシステムの生産を、2024年1月から開始している。今後は、北米市場を中心とした商用分野での協業動向が注目される。
ルノーも動きを見せた。水素燃料電池技術を手がける米プラグ・パワーとの合弁会社「HYVIA(ハイビア)」を、2025年2月に清算する。欧州での水素モビリティの成長遅れと、イノベーションにともなう高コストが要因とされる。
トヨタは、2020年に燃料電池車「MIRAI」を6年ぶりにフルモデルチェンジし、現在も販売を継続している。新型モデルの開発も進行中とされるが、2025年の国内販売は月10台程度にとどまる見通しで、依然として市場の広がりは乏しい。
国内における水素ステーション整備も、普及の足かせとなっている。全国に設置されたステーションは151か所にとどまり、その6割が関東・中部に偏在する。政府は、標準的な供給能力を持つステーション(300Nm3/h換算)を、2030年までに約1000か所設置する目標を掲げているが、進捗は鈍い。
一方、韓国では水素価格が日本の半分程度に抑えられ、国家主導での支援が強化されている。とはいえ、十分なスケールメリットが得られなければ、FCV単体での事業継続は厳しい状況にある。
現代自動車は2025年4月、主力FCV「NEXO(ネッソ)」をフルモデルチェンジした。NEXOは2018年の初代モデル発売以来、累計で世界4万台超を販売し、FCV市場のベストセラーとしての地位を確立している。今後の市場動向においても、現代の戦略が焦点となりそうだ。