ネットで話題 川口駅に「上野東京ライン」は本当に必要か?
埼玉県内で利用者3位の川口駅は、1路線のみ停車にもかかわらず約15万人が利用する。2025年4月に上野東京ライン停車の基本協定が締結されたが、約431億円の事業費負担や通勤時間延長による約1000万円規模の経済損失懸念から、地元では賛否が分かれている。都市交通の未来を左右する重要な局面だ。
関係人口拡大への布石

上野東京ラインの「川口駅停車」をめぐり、さまざまな批判が噴出している。川口市のウェブサイトによれば、同施策の目的は、駅の混雑緩和や通勤・通学の利便性向上、来訪者の利便性向上を通じて、広域的な関係人口の拡大を図る点にある。
これらを実現するには、中距離電車の停車による輸送力の強化が不可欠だ。2023年に策定された「川口駅周辺まちづくりビジョン」でも、同プロジェクトは優先的に取り組むべき施策と位置づけられていた。
今回の基本協定の締結により、川口市としては長年の悲願が実現する格好となった。一方で、列車の通過駅となる利用者の機会損失や、川口市が負担する多額の費用についても、冷静な検証が求められる。
交通の流れが変われば、人の流れも変わる。少子高齢化と人口減少が進むなか、新たな停車駅の設置が定住人口の増加につながる可能性はある。今回の事例にとどまらず、将来的にも住民がよかったと感じられるような都市交通の改善策が求められる。