日産「追浜工場」は生き残れるか? 鴻海EV協業で問われる「完成車メーカー」の定義

キーワード :
, , ,
日産が鴻海とEV協業を模索する追浜工場の存続問題は、国内自動車産業の構造転換を象徴する。約2万人の人員削減と工場再編を掲げる中、外資との異例連携が生産モデルと権限配分の再定義を迫る。EVの市場拡大にともない、設計思想と品質基準の継承が経営の重大課題となっている。

外部連携で進む日中EV再編

日産自動車グローバル本社(画像:日産自動車)
日産自動車グローバル本社(画像:日産自動車)

 中国生産のEV「N7」は、堅調な販売を記録している。一方、国内では新型EVの投入が遅れている。8年ぶりにモデルチェンジする新型リーフは、2025年秋に発売予定だ。

 ただし、日産が新型リーフの栃木工場での生産計画を見直していることが、7月8日に判明した。中国によるレアアースの輸出規制が影響しており、日米での年内投入を前に減産が避けられないとの見方が強まっている。

 こうしたなか、鴻海との協業によって追浜工場でEVを生産できれば、国内におけるEV生産の勢力図に変化をもたらす可能性がある。

 トヨタは、車載電池分野への投資を加速しつつ、中国の比亜迪(BYD)や広州汽車との連携を深めている。ホンダも、ソニーとのEV共同開発に加え、東風汽車や広州汽車、ファーウェイ、モメンタ、ディープシーク、CATLなどとの協業を推進中だ。

 これらの動きに共通するのは、もはや単独開発では限界があるという認識だ。各社は自前主義を転換し、戦略的な外部連携へと移行しつつある。

 日産と鴻海の協業も、その象徴的な取り組みと位置づけられる。追浜工場がEV生産の拠点へと転換すれば、技能継承や労使関係にも影響を与える。それは、地域社会との接点が構造的に変容することを意味している。

全てのコメントを見る