なぜ現代のクルマは“品格”を捨てたのか──「ロボット顔」が暴く教養なき富裕層と、“12歳化”社会の現実とは
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7月2日に配信された山口周氏の音声番組「Voicy」では、現代の自動車デザインが「全世界の12歳化」を象徴すると指摘。高級車やEVの「ガンダム化」ともいえる威圧的で派手な造形は、成熟した市民性の喪失と自己顕示文化の台頭を映し出す。社会の価値観が大きく揺らぐ中、真の美意識と責任を問い直す必要性を鋭く提起する内容である。
「ガンダム化」が示す審美の退行

山口氏は、現代社会において成熟した市民が不在であり、市民的責任も著しく希薄になっていると指摘する。
「立ち振る舞いとか市民としての責任みたいなものも全部『12歳の子供』化していて、本当にもう自分さえよければいいとか、もう俺は成功したんだから人に見せびらかしてやりたいっていう。ある種の奥ゆかしさとか、そういったものっていうのは本当に身も蓋もなく投げ捨てられちゃったっていう気がするんですね」
かつてクルマは社会的な存在意義の象徴だった。モータリゼーションの最盛期には、安全性や信頼性、環境配慮が最優先とされていた。だが現在では、
・速さ
・強さ
・目立つこと
・勝った感
が評価軸になっている。各メーカーもこぞってそうした要素を追求し、消費者もクルマを自己演出のツールとしか見なくなった。
自動車デザインの変化は、社会倫理の退行を映す鏡でもある。社会との共生よりも、視覚的なインパクトが重視され、デザインはますます「ガンダム化」の様相を強めている。