熊本県、なぜ路線バス「共同経営」は失速したのか──2434万人で初の前年度割れ、制度限界と人口変動の深層とは

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法改正から4年、路線バスの共同経営は全国に広がりつつある。熊本では5社体制によるモデルケースが生まれたが、2434万人と利用者数は目標未達。人口減少や生活様式の変化、2024年問題が重なる中、公共交通再編の真価が問われている。

熊本市先駆けの共同経営体制

路線バス(画像:写真AC)
路線バス(画像:写真AC)

 この問題が社会的に注目されたのは、1997(平成9)年から2000年にかけての広島市の事例である。広島市では複数のバス事業者が運賃や運行回数、路線内容について協議し、過度な競争を抑えつつ市内交通の利便性向上を図ろうと試みた。しかし当時はこれがカルテルに該当すると強く指摘され、取り組みは中断された。

 時代は進み、2018年頃からモータリゼーションによる路線バスの利用者減少が加速した。運転者不足も本格化し始めた。こうした状況下で、路線バス事業者の協働による共同経営を認めなければ、事業者の共倒れや地域での路線バス崩壊を招くとの危機感が高まった。

 そこで2020年に、「地域における一般乗合旅客自動車運送事業及び銀行業に係る基盤的なサービスの提供の維持を図るための私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例に関する法律(令和2 年法律第32号)」、通称「独禁法特例法」が施行された。

 この法律により、路線バス事業者間の直接協議が可能となり、共同経営計画が認められれば共同経営が実現可能となった。熊本市内はこの共同経営の先駆的な事例である。

・九州産交バス
・産交バス
・熊本電鉄
・熊本バス
・熊本都市バス

と熊本県・熊本市が共同経営推進室を設置し、関係機関からの出向者で運営している。共同経営は全国的な流れとなり、国土交通省も許可事例をウェブサイトに公表している。

 こうした制度は公的に認められつつあり、運行本数に応じて各事業者に運賃収益を再分配する

「運賃プール制度」

もセットで認められている。路線バス事業が厳しい状況にある一方、合併に踏み切らずとも経営効率化が可能となった。

 この政策は主に地方都市の公共交通網維持に寄与している。地域の路線バスはもはや貴重なリーズナブルな移動手段となっており、共同経営という手法が有効に機能するエリアが徐々に広がっているのである。

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