「EV積載船」が再び炎上、そして沈没! 計70台、原因は? 海上物流はもはや「危険なギャンブル」になったのか

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EVを積んだ自動車運搬船が沈没──再び問われる海上輸送の構造的脆弱性。3048台のうちEVは70台。大量輸送の経済性が火災リスクを高める今、競争軸は「安全に届ける」構造改革へと移りつつある。

EV航行インフラの未整備

EV(画像:Pexels)
EV(画像:Pexels)

 いま見直すべきは航路より「拠点」である。火災リスクを根本から抑えるには、完成車による長距離輸送そのものを減らす以外にない。カギを握るのは「分散型供給網」だ。

 現地での組立や最終調整への移行は、もはや理論上の選択肢ではない。バッテリーパックや主要部品を小ロットで各地域に送り込み、メキシコ、ブラジル、欧州、アフリカなど販売地に近い場所で最終組立を行う。ソフトウェア制御が高度化した現在のEVなら、現地仕様への対応も容易である。この方式であれば、リスクの高い

「バッテリーを積んだ完成車の密閉輸送」

を大幅に回避できる。国際海事機関(IMO)や各国の港湾当局は、輸送基準の改定を急ぐべきだろう。

・消火設備の強化
・積載密度の規制
・車両状態の事前検査
・温度管理システムの導入
・事故時マニュアルの標準化

こうした「EV時代の航行インフラ」は、いまだ整備の途上にある。

 いまの海運は、EVという製品の性質に対応できていない。これはインフラの世代不一致が引き起こす構造的な脆弱性であり、グリーン経済の足元を揺るがす要因となっている。

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