鉄道運賃、さらなる追加値上げも? 国交省が進める「制度改正」議論とは何か

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東急やJR東、東京メトロなど、各鉄道事業者が2023年3月からの運賃値上げを国道交通省に申請した。国は「鉄道運賃・料金制度のあり方に関する小委員会」を設け、運賃の仕組み見直しを検討し始めている。

鉄道運賃、値上げしやすく制度改正?

券売機(画像:写真AC)
券売機(画像:写真AC)

 しかし、その効果は微々たるものだ。鉄道は規模が大きいインフラであるゆえに固定費の割合が大きいので、たとえ輸送規模を縮小しても節減できる経費は少ない。

 このため、運賃値上げを表明する鉄道事業者が現れた。たとえば東急電鉄は、2021年5 月に、2023年春に運賃を引き上げる方針を表明し、2022年1月に運賃改定を国交省に申請したと発表した。

 その影響を受けてか、国交省は2022年2月に前述した小委員会を設け、鉄道運賃の仕組みの見直しを検討し始めた。小委員会は同年6月下旬までに8回開催され、中間とりまとめを発表する予定だ。大きな議題になっているのは、くだんの鉄道運賃に関する制度の柔軟化だ。

 もし制度の見直しによって鉄道運賃の値上げが容易になれば、鉄道利用者の負担が増えるだけでなく、社会にも影響を与える。日々の移動手段を鉄道に大きく依存している大都市圏ともなれば、その影響は多大となるので、不満を感じる人が増えるのは避けられない。

 それでも鉄道運賃の値上げに踏み切るならば、社会的な理解を得ることが不可欠だ。そのためには、鉄道事業者や国が、これまで述べた経緯や、値上げの必要性を丁寧に説明する必要がある。それができなければ、利用者の反発や鉄道離れを招くだけだ。