JR東・東京メトロ 運賃「10円値上げ」は高いか?安いか? 理由はバリアフリー化も、地方では課題山積
JR東日本が5日、首都圏の一部区間の鉄道運賃を2023年3月から一律10円値上げすると発表した。背景にあるのは、国土交通省による駅のバリアフリー化の促進だ。東京メトロでも7日、2023年春をめどに10円の値上げを発表している。
値上げの理由とは
JR東日本の深沢祐二社長は2022年4月5日の記者会見で、山手線各駅など、首都圏の一部区間の鉄道運賃を2023年3月から一律10円値上げすると発表した。
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値上げの理由は、国土交通省がホームドア設置などの駅のバリアフリー化を促すために鉄道料金制度の見直したことにある。JR東日本では2036年頃までに駅のホームドアの整備費など、約5900億円の半分を運賃でまかなう方針だ。国土交通省の方針とは、2021年12月14日に「第2次交通政策基本計画(2021年5月閣議決定)」において示された方向性に基づき発表されたものである。
第2次交通政策基本計画では、バリアフリー化を加速するために
・都市部において利用者の薄く広い負担も得てバリアフリー化を進める枠組みを構築
・地方部において既存の支援措置を重点化
することを挙げている。
この計画に対応するため、国土交通省は新たな料金制度を設けて、鉄道事業法施行規則や軌道法施行規則を変更し、認可ではなく事前の届けで運賃を変更できることを決めている。
軌道を含む鉄道では、運賃は国土交通大臣の認可を事前に受ける必要があったが(新幹線を除く特急料金、指定席料金などは届け出制)、国土交通省ではこれを改めてバリアフリー化の促進に乗り出した形だ。
これまでも新たに建設された路線では、利用者から特定額を加算する「加算運賃」制度が存在している。JR西日本の関西空港線では220円、京王電鉄相模原線の京王多摩川~橋本間では20円を加算している(いずれも大人運賃)。今回の制度変更は、これを駅設備にも利用できるものに広げたといえる。