鉄道運賃、さらなる追加値上げも? 国交省が進める「制度改正」議論とは何か
東急やJR東、東京メトロなど、各鉄道事業者が2023年3月からの運賃値上げを国道交通省に申請した。国は「鉄道運賃・料金制度のあり方に関する小委員会」を設け、運賃の仕組み見直しを検討し始めている。
JR本州3社、過去最大の赤字計上

背景には、大きな社会変化がある。国が感染拡大を防ぐために外出自粛を要請した結果、在宅勤務を含むテレワークやウェブ会議、出勤日の削減が定着し、通勤や出張で鉄道を利用する人が減ってしまったのだ。
その結果、国内の多くの鉄道事業者の経営状態が悪化した。たとえばJR本州3社は、2021年3月期に過去最大の赤字をそれぞれ計上し、赤字額の合計が1兆円以上に膨れ上がった。
この状況を打開し、経営状態を根本的に改善するには、運賃を上げるしかない。ところが鉄道事業者はすぐに鉄道運賃の値上げに踏み切れなかった。
日本では、国が定める鉄道運賃の認可制度が航空運賃よりもハードルが高い上に、値上げを実現するに煩雑な手続きと、1~2年の準備期間が必要だからだ。
つまり、日本では、鉄道運賃に関する硬直的な制度があるゆえに、コロナ禍による急な社会変化に柔軟に対応できず、鉄道事業者がすぐに運賃値上げに踏み切れずに苦しむ事態になったのだ。
そこで多くの鉄道事業者は、2022年3月に列車ダイヤをスリム化した。列車の本数を減らし、編成を短くすることで輸送規模を縮小し、列車運行にかかる経費を削減したのだ。