なぜ日立は「車両メーカー」から脱皮するのか? 信号・制御で世界トップシェアの裏に、年平均成長率9.3%「7兆円市場」への大転換
日立製作所が自動運転システムで存在感を高めている。完全無人運転(GoA4)を導入する欧州の都市鉄道に対応し、制御や保守を含めたシステム全体の統合を推進。2024年のギリシャ案件は、同社が車両メーカーから都市インフラの中枢へと進化した象徴といえる。
デジタル×社会インフラの挑戦

日立が鉄道システム事業に注力する背景には、
「車両単体の収益性」
が限られている現実がある。車両製造の利益率は業界全体で数%程度とされるが、制御・信号・保守を含む全体最適化を提案することで、20%台の高収益モデルへの転換も十分に現実的だ。
鉄道は都市の安全性、効率性、環境性能に直結する社会インフラであり、デジタル化による課題解決が強く求められている。日立の新経営計画「Inspire 2027」では、こうした社会課題に応える「デジタル × 社会インフラ」の中核領域として鉄道を位置付けた。AIと現場の専門知見を組み合わせた統合型サービスを通じて、保守コスト削減や列車遅延抑制など運行最適化に取り組んでいる。
この取り組みは、単なるモノ売りから価値の継続的提供を重視する「コト売り」への転換でもある。鉄道インフラの資産効率を高め、持続可能な都市交通を実現する手段として、収益性と社会性を両立させる戦略的意義を持つ。
欧州や中東、アジア太平洋などの成長市場では、制御・信号・保守を一括で提案できる力が競争優位の鍵となる。日立は鉄道を「社会課題解決の中核事業」と位置付け、グローバル展開を本格化させている。