なぜマレリは「2度目の破綻」に追い込まれたのか? 負債1.2兆円と「日産依存3割」の呪縛――インド社主導の再編劇が突きつける“非情な現実”
2度目の経営破綻に追い込まれたマレリ。負債総額1兆2000億円という巨艦サプライヤーの迷走は、日産依存の歪みと買収後の統合不全に起因する。マザーサンによる再建が進めば、日本の部品産業や全国2942社の取引先に及ぶ構造転換の引き金となる可能性がある。
2900社に及ぶ取引先構造

旧日産系列のカルソニックカンセイとイタリアの伝統企業マニエッティ・マレリの統合は、当初からシナジー不全が指摘されている。日本企業の慎重な意思決定や現場調整と、欧州型のイタリア企業の組織文化の違いが大きな障壁となった。
両社はともに電装部品をコア事業とし、冷却系、排気系、内装部品などで製品ポートフォリオが重複していた。期待されたスケールメリットは発揮されず、かえって効率低下を招いた。
工場の立地は日本と欧州に過密状態で、拠点間の調整や調達戦略に非効率が目立った。さらに日産とステランティスへの顧客依存が強く、価格交渉力の低下と収益の脆弱性を助長している。
東京商工リサーチによれば、マレリグループの国内取引先数は重複除き2942社にのぼる。そのうち売上高10億円未満の企業が約3割を占める。特に中小企業が多く、技術力で差別化できる企業は少ない。マレリ依存の経営体質から、キャッシュフローに余裕のない取引先も多い。旧日産系列の企業も含まれ、日産依存からの脱却が進まなかったことも痛手だ。
取引先は全国45都道府県に広がる。最多は東京都の877社で、神奈川県、愛知県、大阪府、埼玉県が続く。マレリ子会社のある福島県や大分県でも多い。秋田県と高知県を除く全国に広がる裾野の広さが特徴だ。
広範な自動車部品サプライチェーンを通じて、再編や淘汰の波が地域経済に波及する可能性が高い。首都圏や自動車産業の集積地である東海、九州だけでなく、全国的な影響が懸念される。