「運転するな」「免許返納しろ」…じゃあ、高齢ドライバーはどう移動すればいいのか? 制度なき“正論”が生む交通弱者という構造的孤立
地方の高齢者が免許を返納すれば、移動手段の喪失による孤立が進む。公共交通は減少し、自治体の財政も逼迫。安全と生活維持の両立に向けた制度改革が急務だ。
採算主義が招く交通空白

地方における公共交通の退潮は、決して一朝一夕の話ではない。バブル崩壊後、赤字路線の切り捨てが進み、自治体によるバスの補助金も、財政悪化で減らされてきた。高齢化・人口減少が進行すれば、乗客はますます減り、運行会社は赤字を背負いこむ。
鉄道やバスは、採算が取れなければ成立しないインフラ型民間事業である。これは建前ではなく、厳然たる数字が突きつける現実だ。乗客ひとりあたりの単価が低く、需要がまばらである地方では、運行のための費用を運賃で賄うことはほぼ不可能である。そこで必要になるのが、行政からの継続的な支援だが、多くの自治体がその予算を確保できない。
その結果、公共交通は市場経済の理論に沿って消滅していく。そして、あろうことか
「高齢者の運転リスク」
という別の論理によって、残された移動手段である自家用車すら手放すよう迫られる。繰り返すが、「彼らに何をしろというのか?」。この問いは、インターネット上の意見にも、行政にも、メディアにも、そして都市部に暮らす“交通選択肢に恵まれた層”にも投げかけられている。