「即日車検」はなぜ最短45分で終わるのか?――スピード整備を支える指定工場、コスト半額の正体とは
最短45分、費用は約5万円──車検が“当日完了”する即日サービスが拡大している。全国に7800万台以上ある四輪車市場で、利便性を武器に支持を集める一方、安全性とのせめぎ合いも。急伸する即日車検の仕組みと課題を読み解く。
安全性とデメリットに関する考察

即日車検を語るうえで、デメリットやリスクにも触れておく必要がある。最大の懸念は、点検・整備の範囲が
「車検に合格するための最低限」
にとどまる点だ。そのため、経年劣化した部品や将来的な不具合を防ぐための整備が後回しになるリスクがある。
そもそも車検とは、現時点で保安基準に適合しているかどうかを確認する制度であり、今後の安全性や信頼性を保証するものではない。実際、即日車検では消耗が進んだ部品でも、基準をクリアしていれば交換されず、そのまま使われるケースが多い。例えば、ブレーキパッドやタイヤの摩耗が基準値すれすれであっても、即日車検では交換なしで合格となることがある。
さらに、点検項目に含まれない異常や予防的な部品交換については、時間的制約により、十分な説明や提案が行われないケースもある。楽天Car車検の調査でも、
「不具合を見落とされるのではないか」
「将来的なトラブルが心配」
といった不安の声が一定数寄せられている。
即日車検に対応する指定整備工場であっても、部品の在庫がない場合や重度の不具合が見つかった場合には、当日中の完了が難しくなる。再入庫が必要になるケースも珍しくない。特に古い年式の車両や輸入車では、部品の調達に時間がかかり、即日対応が現実的でないこともある。
このように、即日車検はあくまで現在の安全性を確保するための手続きにすぎない。将来的なトラブルへの備えや、経年劣化への対応という観点では、従来型の車検や定期メンテナンスと比べて不十分な側面があるといえる。