日産はなぜ何度も「経営危機」に陥るのか? 鮎川財閥からゴーンまで…繰り返される「社内権力闘争」という病理
日産自動車は2025年3月期に最大7500億円の純損失を計上する見通し。過去の経営危機から再建を繰り返しながらも、企業体質の根本的な問題は解決されず、持続可能な成長への道筋が問われている。
ルノー依存が生んだ統治不全
日産は、外部資本に依存する構造を繰り返してきた。
1950年代の英オースチンとの技術提携に始まり、1999年にはルノーからの出資を受け入れた。2010年にはダイムラー(現・メルセデス・ベンツ)と戦略提携を結び、2016年には三菱自動車を買収した。近年もホンダや鴻海との提携に関する憶測が報じられている。
こうした外部依存の最大の問題は、提携のたびに経営の主語が曖昧になる点にある。経営再建は誰のためか。組織はどこに向かって戦略を描くのか。そうした問いに対する明確なビジョンが欠けている。
ビジョンのないまま外資を受け入れると、社内では抗体反応のように反発が強まる。
「内か外か」
という単純な線引きが正当化され、組織の分断は加速していった。