八王子は「東京」を名乗っていいのか? マツコが「納得いかない」「23区感出すな」と語る理由! 移動のリアルから考える

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「東京出身」の一言が、地価・通勤・都市ブランドの実態とねじれを浮かび上がらせる。人口58万人、新宿から特急で約40分の八王子市を起点に、「都市名 = 資産」の構図と、それを巡る移動と感情の不均衡に迫る。いま問われるのは、属する場所ではなく繋がる力のリアリズムだ。

人口58万が支える学術都市

八王子市の位置(画像:OpenStreetMap)
八王子市の位置(画像:OpenStreetMap)

 八王子市は東京都多摩地域南部に位置し、東京23区に次いで1917(大正6)年に市制を施行した歴史ある都市である。戦国期には後北条氏や徳川氏の軍事拠点として城下町が形成され、江戸時代には甲州街道の宿場町「八王子宿」として栄えた。また、養蚕と絹織物の地場産業が発展し、桑都(そうと)の美称で知られた。

 明治以降は生糸や織物の流通拠点として発展。甲信地方からの生糸が集まり、横浜港へ輸送されることで外貨獲得に貢献した。市は多摩地域の行政・商業の中心となり、戦後は都心から約40kmの立地を背景にベッドタウン化が進行。1970年代以降、多摩ニュータウンや八王子みなみ野の開発が進み、現在では人口約58万人と多摩地域最多を誇る。

 市内には大学や短大、高専が23校所在し、約11万人の学生が集う学術都市でもある。高尾山など自然観光資源にも恵まれ、年間300万人超の登山者を集めるなど観光面でも存在感を発揮。2020年には日本遺産にも認定された。

 交通の要衝としても古来より重要であり、現在も中央道・圏央道・国道20号が交差し、鉄道ではJR中央線・横浜線・京王線が接続する。東京都初の中核市・業務核都市に指定されるなど、周辺自治体との広域連携も進んでいる。

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