事故の真実を記録する「EDR」! 26年義務化で自動車業界はどう変わる? 池袋暴走事故で証明された有効性と倫理的懸念

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交通事故の原因究明や再発防止に重要な役割を果たすEDR(イベントデータレコーダー)。2024年からは大型車にも義務化が進み、詳細な走行データが事故調査を加速させる。だが、その普及率は依然として低く、今後の課題も多い。

搭載が義務化された「EDR」

交通事故のイメージ(画像:Pexels)
交通事故のイメージ(画像:Pexels)

 事故時のデータを記録する装置「EDR(Event Data Recorder)」は、事故原因の究明や再発防止策に活用される。元々は自動車メーカーが車両の欠陥調査のために使用していた。このため、エアバッグの電子制御ユニット(ECU)などに搭載されている。

 EDRは、急加速や車両停止、安全装置作動を感知すると、事故時の車両制御に関する情報を記録する。記録されるデータには、

・事故発生時の速度
・アクセルやブレーキの操作状況
・シートベルトの着用状況

などが含まれる。記録時間は、事故発生の瞬間から数秒前まで、または発生前後の数十秒間にわたる。

 国土交通省は2021年9月30日、EDRに関する国連規則を国内の保安基準に導入するため、法令を整備すると発表し、EDRの搭載を義務化した。対象となる車両は、乗車定員10人未満の乗用車および車両総重量3.5t以下の貨物車で、新型車は2022年7月1日から、継続生産車は2026年7月1日から義務化される。

 交通事故総合分析センターの沼尻到氏の論文「交通事例調査へのEDRデータ活用検討」によれば、EDRは2006(平成18)年9月に発売された普通乗用車に搭載され、以降増加してきた。2010年5月末時点で、5社47車種に搭載されているという。すでに多くの車両に搭載されている装置だ。

 では、なぜEDRの搭載が義務化される必要があったのだろうか。

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