ドライバーの給与も下がる? メルカリ新サービス「ゆっくり宅配」が招く「送料値下げ」という新たな物流問題
運賃低下の懸念

しかし、値下げされた貨物が増える可能性を宅配ドライバーはどう見るのだろうか。たとえゆっくり宅配により繁忙期と閑散期が分散されたとしても、1個あたりの運賃の低下はドライバーの首をしめることにはなるのではないかと筆者は懸念する。
大手宅配業者では、「基本給+インセンティブ」の給与形態のドライバーが多い。個人事業主が業務委託で仕事を請けている場合には、配達1個あたり◯円の契約もある。要するに「歩合性」の側面が大きいのだ。
表面上の仕組みとしては、時間外労働や二酸化炭素の削減につながり企業努力として認められる。一方、ドライバーは毎日同等に忙しくなるが、1個あたりの配送料は下がる。となると、考えられるのが
・ドライバー離れ
・宅配クライシス
の加速だ。
以前、筆者が書いた「一般人こそ知るべき物流問題 商品の価格高騰を招く「空車回送」とは何か」(2022年2月23日配信)の記事コメントに
「荷役作業が伴う帰り荷を安い運賃で請け負うくらいなら、空車で走った方がマシだ」
といった内容がいくつか寄せられた。この記事は長距離輸送メインの話だったため、本稿とは少し異なるかもしれないが、似たような気持ちを抱くのではないかと考える。
積載効率を向上させることは、物流の諸問題を解決する糸口になる重要な課題だ。しかしそれだけでなく、基本運賃の値上げをしたうえで、ゆっくり宅配で値引きという形を取らなければ根本解決は難しいだろう。
無料配送や最短当日着が生んでいる弊害を消費者が理解し、適正運賃を許容していかなければ、2024年問題も宅配クライシスも解決にはならない。
メルロジはゆっくり宅配の導入に向けて、大手業者と料金体系や開始時期の交渉に入る意向という。荷主、物流会社の利益だけでなく、ドライバーにとっても、ゆっくり宅配が「やさしい物流」になることを願いたい。