ドライバーの給与も下がる? メルカリ新サービス「ゆっくり宅配」が招く「送料値下げ」という新たな物流問題

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物流問題を受け、メルカリが配達の新しい選択肢に「ゆっくり宅配」を加える方針。配送日数に余裕を持たせることで、物量の少ない日に配達を回せる。ただ懸念点はないのか?

本当に“早さ”は必要か

メルロジのウェブサイト(画像:メルロジ)
メルロジのウェブサイト(画像:メルロジ)

 電子商取引(EC)市場の宅配はこれまで、

・早さ
・安さ

を競う傾向にあった。朝に注文すれば午後に届く物流を構築している企業も珍しくなくなった。

 確かに「無料で配達、最短2時間」だったら消費者は選択したくなるだろう。ただ、実際のところ「本当にすぐに届いて驚いた」と感じた経験はないだろうか。つまり、本当はさほど急いでいないのにも関わらず、最短納品を選択したくなる仕組みが物流を逼迫(ひっぱく)させている可能性がある。そこに目をつけたのがメルロジのゆっくり宅配だ。

 そもそもメルカリのメインは一般人の不用品販売だ。利用者同士、相手が業者ではないことを理解したうえで

「発送は急がなくても大丈夫です」
「ゆっくりで構いません」

などの思いやりのある言葉が頻繁に交わされている。つまりメルカリ利用者の中には、安く買うために早さは犠牲にできる顧客層が潜在するのだ。

 またメルカリでは値下げ交渉が、通例のように行われている。ゆっくり宅配が実現すれば、

「ゆっくり宅配で構わないので、◯◯円値引きしてほしい」

のような交渉が行われ、積極的に選択されると筆者(田中なお、物流ライター)は予想している。購入側としては安さを優先することで、社会貢献を意識しなくとも、違和感なく選択肢を活用できるだろう。

 迫る物流の「2024年問題」では、働き方改革関連法によりドライバーの残業時間が制限され、ドライバーの収入減少、それに伴うドライバーの人手不足などが懸念されている。さらに巣ごもり需要によるEC市場の拡大を背景に、宅配がドライバー不足で対応しきれなくなる可能性が指摘される「宅配クライシス」も問題として挙げられる。

 ゆっくり宅配が仕組みとして定着し「2024年問題」「宅配クライシス」の解決に一定の効果が出ると期待したい。

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