豪華客船バトルロイヤル! 日本船vs外国船、「富裕層争奪戦」の裏で深まる格差! 28年ディズニークルーズが日本市場を席巻する?

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日本のクルーズ業界は、商船三井クルーズや郵船クルーズによる新船投入で競争が激化する一方、価格の高さが顧客層を固定化し、業界全体の成長を妨げるリスクも抱えている。富裕層向けに特化した現状を打破し、幅広い世代にアクセス可能なクルーズの普及が求められる。

年間1000億円売上の突破口

ディズニークルーズ(イメージ)。(C)Disney(画像オリエンタルランド)
ディズニークルーズ(イメージ)。(C)Disney(画像オリエンタルランド)

 日本船クルーズの起爆剤となる可能性が高いのが、2028年度に日本を拠点に始動するディズニークルーズだ。オリエンタルランドによると、14万総トン級の新造船を日本船籍で就航させる予定だ。この船は、日本船最大の飛鳥IIを大きく超える規模となる。

 当初は東京国際クルーズターミナルを発着し、2~4泊の無寄港短期運航を行う予定だ。料金は1人10万~30万円(1泊あたり5~7万円)を想定しており、これはにっぽん丸や飛鳥IIと同程度の価格設定だ。年間40万人の集客を見込んでおり、売上高は約1000億円になると予想されている。

 2025年2月、郵船クルーズ、その親会社・日本郵船、オリエンタルランドの3社は、ディズニークルーズ事業に向けた業務提携で基本合意書を締結した。この提携により、オリエンタルランドが計画するクルーズ事業に対して、日本郵船グループがクルーズ船の管理や運航支援を行うことになる。

 オリエンタルランドは、テーマパークやホテルの運営で培った非日常空間作りと、高いホスピタリティを提供してきた。これに対して、日本郵船は運航実績や安全技術を持ち寄る。両社の協力により、オリエンタルランドが目指す「ファミリーエンターテイメントクルーズ」の実現に向けて動き出す。

 ディズニーのブランドは、日本の家族連れ、とりわけ子どもたちには非常に親しまれている。これにより、40~50代以上の世代だけでなく、若い世代の需要を引き出す可能性もある。ディズニークルーズは、まさに「夢の船」といえる存在であり、2028年の登場が待ち遠しいとの声も上がっている。

 だが、予断を許さない状況だ。「クルーズの敵はテロ、パンデミック、戦争」とも言われている。5年前、横浜港でのダイヤモンド・プリンセスの事件、その後のパンデミックで全世界のクルーズ運航が停止したことを考えると、油断はできない。

 特に心配なのは世界情勢だ。東西冷戦が終結に向かっていた平成の時代とは違い、現在は不確実性が増している。2028年、日本を含む世界がどうなっているかは予測できない。

 筆者の過剰な心配かもしれないが、そうでないことを願いたい。

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