超高級SUV、本当に必要? なぜ「オフロード」にこだわる? 「走破性」という名の過剰スペック、富裕層を魅せる美学とは

キーワード :
, , ,
ラグジュアリーSUVは、従来のショーファーカーの価値観とSUVの自由さを融合させた新たな高級車カテゴリー。高額なカリナンやベンテイガが象徴するこのジャンルでは、走破性や万能性が重視されつつも、実際の使用シーンはほとんど限定的。ではなぜ、この「過剰な余裕」を求める富裕層が増えたのか、その背景に迫る。

富裕層の新たな自己表現

 近年、世界的なSUVブームがショーファーカーのジャンルにも波及している。従来はセダンに求められていたショーファーカーとしての価値を、SUVにも期待する声が高まった。富裕層の間でラグジュアリーSUVへの需要が顕在化し、各ブランドが高級SUVの開発に乗り出す流れが生まれた。

 それだけではない。富裕層にとってクルマを使った

「自己表現」

の方法も変化している。ロールス・ロイス・ファントムのようなショーファーセダンは、堂々たるサイズと重厚な存在感を持つが、静謐で内省的な雰囲気を湛えている。静粛性や乗り心地、外界との隔絶を思わせる設計思想は、気品や威厳を内に秘めるための構造的美意識に基づいている。

 一方、ラグジュアリーSUVは高い車高と圧倒的なボリューム感を武器に、視覚的なインパクトに優れる。存在そのものが裕福さのアピールになり、自信や地位を誇示する手段として機能する。新たな富裕層にとって、より積極的なステータスの表明手段となっている。

全てのコメントを見る