通勤電車の「ながらスマホ」で失われた価値とは? 「情報消費」に駆り立てられる現代人、新聞、読書、雑談…失われた余白の価値…モビリティ社会の未来を考える

キーワード :
スマートフォンの普及により、通勤時間や移動時間は単なる「暇つぶし」の場から「情報消費の時間」へと変貌を遂げた。2023年の情報通信白書によると、個人のモバイル端末保有率は86.2%に達し、移動中にSNSや動画を楽しむ人が増加。だが、その変化がもたらした課題も無視できない。創造的な発想や偶然の出会いが失われつつある中、移動時間の本来の価値を再評価する時期が迫っている。

電車内における乗客の行動傾向

鉄道(画像:写真AC)
鉄道(画像:写真AC)

 スマートフォンが普及する以前、通勤電車や移動中の時間は「空白の時間」として多くの人に存在していた。

・読書をする
・新聞を広げる
・車窓の風景を見る
・隣の乗客と雑談する

そうした行為が、移動中の人々の時間を埋めていた。かし、現在では電車内の光景は一変し、スマートフォンを凝視する姿が当たり前になった。

 だが、この変化は単なる時代の流れで片付けられるものだろうか。移動中の過ごし方の変化は、人々の行動様式を変え、さらにはモビリティ経済そのものに影響を及ぼしている。

 これまで空白とされていた時間は、どこへ行ったのか。そして、未来に向けて何を意味するのか。

全てのコメントを見る