新幹線が「貨物列車」に大変身!? JR東日本「はこビュン」事業拡大で年間100億円狙う! ただし「一方通行」問題の解決どうする?
鉄道新ビジネスの可能性

鉄道ネットワークを活用した荷物輸送サービスはこビュンは、JR東日本が新幹線や在来線特急を使い、荷物の積み下ろしや車内での管理をグループ企業のジェイアール東日本物流が担当する形で実施しているサービスである。
このサービスは、コロナ禍の2021年10月に輸送トライアルや実証実験を経てはこビュンとして本格的に展開が開始された。当初は、乗客の減少にともない、
「空気を運ぶくらいなら荷物を運ぼう」
という苦肉の策として受け取られたが、新幹線の高速性や時間の正確性が評価され、ドライバー不足が深刻化していたトラック輸送からのモーダルシフトを促進し、CO2削減にも貢献するビジネスとして注目を集めた。
サービス開始当初は、回送列車や車販準備室などのスキマを活用したビジネスだった。輸送される荷物も、JRグループの商業施設で販売される生鮮食料品や特産品など、限定的でイベント性の強いもので、どちらかといえば
「話題性重視のビジネス」
という印象が強かった。しかし現在では、特産品に加え、精密機器や医薬品など、多岐にわたる荷物の需要が広がっている。また、「はこビュン Quick」として事前予約不要で、荷物1個から列車出発の30分前まで申し込み可能なサービスも開始され、小口の荷物にも対応し、受付窓口の拡大が進んでいる。
当初はスキマビジネスとして始まったはこビュンだが、今やその規模はスキマといえるものではなくなっている。2023年8月には、新潟~東京間で荷物のみを積載する臨時列車を運行し、多量荷物輸送のトライアルが行われた。その結果、上り約700箱、下り約100箱の計800箱という輸送量を達成した。
この規模の輸送には、新幹線のホームだけでは対応できないため、新潟と東京の新幹線車両基地を活用した荷物の積み下ろしや荷捌きが行われた。これにより、従来の駅ホームでの作業に比べて、より広いスペースと時間の確保が可能であることが確認された。