エスカレーター「片側空け」は誰が決めたのか? ぶっちゃけ輸送効率低下です! 事故も多発…欧米信仰と譲り合いの罠! 鉄道各社も警鐘の現実
本当に「効率的」だったのか?

片側空けの習慣が広まった背景には、急ぐ人のために道を譲ることが合理的であるという思い込みがあった。しかし、近年の調査によって、この習慣が実際には輸送効率を悪化させることが明らかになった。
構造計画研究所の実験(2018年)によると、全長30mのエスカレーターを350人が通過するのにかかった時間は、2列に立った場合が6分49秒で、片側空けをした場合(そのうち6~7割が歩行)は7分35秒だった。この結果から、片側を空けるとむしろ
「輸送効率が悪化している」
ことがわかる。また、全員が歩行した場合でも、時間の短縮はわずか15秒程度だった(『毎日新聞』2018年12月25日付朝刊)。
さらに、朝のラッシュ時には片側空けが逆にボトルネックを生み、問題となる。片側に立つための列が長くなり、ホーム上での移動が妨げられる結果、目的である「早く進む」ことが逆効果となり、全体の流れを悪化させてしまう。
加えて、安全性の観点でも問題がある。日本エレベーター協会の調査によると、「乗り方不良」による事故は2008(平成20)~2009年に674件だったが、2013~2014年には882件に増加した。エスカレーターを歩行することで転倒や衝突のリスクが高まることが明らかになっている。
では、なぜ非効率で危険な習慣が30年以上も続いたのだろうか。まず、1980年代の日本は欧米文化への憧れが強く、
「欧米ではこうしている = 日本も取り入れるべき」
という考えが広まった。このような思い込みから、実際に検証することなく習慣が受け入れられた。次に、日本社会の「譲り合い」の文化が、片側空けを「親切な行動」として定着させた。しかし、それが結果的に輸送効率を悪化させ、事故を増加させることには誰も気づかなかった。
そして、一度定着した習慣は変わりにくい。30年以上続いた習慣は、人々の行動規範として根付いてしまい、近年の「2列乗り」の呼びかけに対しても、多くの人が「マナー違反」と感じるのはその証拠だ。