地元商店街vsショッピングモール! 「駐車場」充実で商店街は復活する? 高松の商店街「4500台」が生んだ奇跡、無料時間60分がカギか?

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高松中央商店街の成功要因として注目されるのは、その充実した駐車場の確保。香川県のクルマ社会を背景に、駐車場数約4500台が集客に大きく貢献している。自家用車保有台数の多い地域で、無料または低料金の駐車場を提供することが、商店街の賑わいを支える重要な要素となっている。

高齢化時代の商店街活性化のカギ

高松の商店街(画像:写真AC)
高松の商店街(画像:写真AC)

 特に地方都市の中心商店街が生き残るためには、「魅力的な町づくり」や「賑わい創出」といった抽象的な理念だけでは不十分で、まずは駐車場などの基本的なインフラ整備を確実に行うことが必要だ。どんなに魅力的な店舗や設備が整っていても、「出かけるのが面倒」と感じれば、客は来ない。

 ただし、これらの考え方は現在のクルマ社会を前提にしている。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によると、2040年には日本の65歳以上の人口が総人口の35%を超える。高齢化の進展により、自動車の運転が難しくなる人が増えることは確実だ。こうした未来を考えると、商業施設の生き残り戦略は「クルマ社会対応」から「多様な移動手段に対応したアクセシビリティの確保」へとシフトする必要がある。

「多様な移動手段に対応したアクセシビリティの確保」とは、自動車だけでなく、公共交通、自転車、歩行者など、さまざまな移動手段に対応するインフラ整備を進めることだ。具体的な対策としては、商店街周辺のバス停や駅と商業施設を結ぶシャトルバスを運行したり、バスや電車の運行ダイヤを商業施設の営業時間に合わせて調整したりすることが考えられる。また、高齢者や障がい者が利用しやすいように、駅やバス停のバリアフリー化を進めることも重要だ。

 さらに、自転車利用を促進するためには、自転車専用の駐輪スペースを増やし、自転車道を整備することが求められる。また、自転車のレンタルサービスを導入することで、地域外から訪れる人々にも自転車を使いやすくし、移動手段としての選択肢を広げることができる。

 中心市街地の商店街や周辺エリアを歩きやすく整備することも重要な要素となる。歩道を広げ、車道と歩道の区分を明確にし、交差点の信号機のタイミングを調整することで、歩行者の安全性と利便性を向上させることが必要だ。また、歩行者専用エリアや観光スポットにアクセスしやすい道を整備することもひとつの手段だ。

 カーシェアリングや自転車シェアリングなどのシェアリングサービスを導入することで、個人所有に頼らない新しい交通手段を提供し、移動手段の多様化を促進することができる。特に中心市街地では、限られた駐車スペースを効率的に活用するため、シェアリングサービスは有効だ。

 また、スマートフォンアプリを活用することで、公共交通やシェアリングサービス、自転車のレンタルなどを一括で予約・管理できるようにし、複数の移動手段をシームレスに利用できるようにすることができる。このように、訪問者にとって便利なアクセスを提供することが可能となる。

 これらの対策を取り入れることで、商店街はクルマ社会に依存することなく、多様な移動手段を利用できるようになり、どんな年代の人々にも便利でアクセスしやすい環境を提供できる。

 中心市街地の商店街には、公共交通との連携や歩いて暮らせるコンパクトシティ構想など、郊外型ショッピングモールにはない優位性がある。今後、商店街の存続は、こうした強みを活かした新しい対策を郊外型商業施設に先駆けて実行できるかどうかにかかっている。

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