地元商店街vsショッピングモール! 「駐車場」充実で商店街は復活する? 高松の商店街「4500台」が生んだ奇跡、無料時間60分がカギか?
駐車場無料時間の最適解

日本都市計画学会の「『都市計画論文集』Vol.50 No.3」に掲載された鈴木雄・日野智の論文「駐車場無料時間による地方都市中心市街地への訪問意識・滞在特性に関する研究―JR 秋田駅前民間駐車場における駐車無料時間延長施策を例として―」では、この点について次のような分析結果が示されている。
「駐車場の評価における効用の大きさは、「駐車無料時間」>「利用料金」>「目的地までの距離」>「サービス券の有無」の順番であった」
その上で、この調査では、どの程度の無料時間で影響がでるのかと分析し、以下のように記している。
「訪問頻度が「増える」と回答した被験者は、駐車無料時間が45分間から60分間へ15分延長されたことにより約5.9倍になる。一方で、駐車無料時間が60分間から120分間への60分の延長では約1.7倍の増加にとどまる。また、訪問頻度が「増える」もしくは「やや増える」と回答した被験者の割合をみると、駐車無料時間が60分間で82.8%、駐車無料時間が120分間で91.7%となる」
これらの詳細なデータ分析結果に基づき、鈴木・日野の研究は駐車場の無料時間と来訪頻度の関係について、次のような明確な結論を導き出している。
・駐車場無料時間の延長は、30分から45分にしてもほとんど効果がない
・60分以上に延長することで、訪問者数や滞在時間が大きく増加する
・120分無料にしても60分と比べて大きな差は出ないので、60分無料が最適解となる
・駐車場を無料にすることで、距離の遠さや料金の高さといったデメリットを打ち消せる
これらの研究結果から、商店街が郊外型ショッピングモールと競争するためには、60分程度の無料駐車時間を提供できる駐車場をできるだけ多く確保することが重要だといえる。ただし、高松中央商店街の事例を見ると、必ずしも完全無料の駐車場だけが唯一の解決策ではない。
・市営駐車場での25分100円などの低料金設定
・買い物額に応じて無料になるサービス
など、地域の実情に合わせた様々な駐車場戦略が効果を上げている。いずれにしても、手頃な料金で、いつでも待たずに駐車できる十分な駐車スペースを完備することが、商店街の生き残りには欠かせない要素となっている。