地元商店街vsショッピングモール! 「駐車場」充実で商店街は復活する? 高松の商店街「4500台」が生んだ奇跡、無料時間60分がカギか?
地方消費を掌握するショッピングモール

小売業において、駐車場は単なるサービスの提供にとどまらず、売上に直結する重要な要素となっている。この事実は、以前から明らかになっている。
例えば、経済産業省が発表した「平成9年(1997年)商業統計 業態別統計編(小売業)<概況>」では、駐車場の有無が売上に与える影響について分析が行われている。その結果、次のようなデータが示されている。
・駐車場保有店の年間販売額:104兆7522億円(前回比8.3%増)
・駐車場非保有店の年間販売額:42兆9909億円(前回比7.7%減)
このデータから明らかなように、駐車場を確保している店舗は売上が大きく伸びているのに対し、駐車場を持たない店舗は売上が減少傾向にある。さらに、この調査では業態別における駐車場の有無も分析されており、業種を問わず駐車場を持たない店舗は、店舗数・売上ともに減少していることが指摘されている。
この調査が行われたのは大店立地法が施行(2000年)する以前のことだが、すでにこの時点でスーパーや百貨店といった大規模小売店が駐車場の拡充を進めていたことも報告されている。つまり、早い段階から駐車場の必要性に着目し、顧客のクルマ利用を前提とした店舗づくりを進めた事業者ほど、成長を遂げていたことが読み取れる。
1990年代以降、郊外型ショッピングモールは地方のクルマ社会に対応する形で、広くて無料の駐車場を整備し、消費者の利便性を向上させた。さらに、衣食住すべてをワンストップで完結できる形態へと進化し、顧客のニーズを取り込んでいった。
一方で、中心市街地の商店街は、高松中央商店街のように駐車場を確保し、時代の変化に対応したケースもあるが、そうした取り組みが不十分な商店街では、駐車場不足や老朽化・陳腐化が重なり、衰退を余儀なくされるケースが目立つようになった。
結果として、郊外型ショッピングモールが地方消費の中心となり、駐車場を持たない商店街の衰退が加速していった構図が浮き彫りになっている。