夜行列車の復活は「銀河モデル」にアリ? 昼夜兼用タイプがカギ? 高乗車率95%のワケ、多様性時代の鉄道戦略を考える【連載】夜行列車現実論(7)
夜行列車の復活に向けた議論は続くなか、JR西日本の「WEST EXPRESS銀河」が示す成功事例が注目されている。モジュール性の高い車両デザインや、観光需要に応じた柔軟な運行は、需要の再生可能性を証明。2024年9月には和歌山県紀南コースの運行を終え、乗車率95%を記録するなど、夜行列車の未来に一筋の光を灯す。
コスト抑制で実現する鉄道ニーズ

夜行列車は、かつて多くの人に利用されていた移動手段だ。寝台車を使った快適な移動や、昼間の時間を有効に使える利点があるものの、新幹線や高速バス、格安航空の普及でその存在感が薄れてきた。
本連載「夜行列車現実論」では、感傷やノスタルジーを排して、経済的な合理性や社会的課題をもとに夜行列車の可能性を考える。収益性や効率化を復活のカギとして探り、未来のモビリティの選択肢として夜行列車がどう再び輝けるかを考えていく。
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これまで、筆者(北條慶太、交通経済ライター)は夜行列車の実現可能性について、6回にわたってさまざまな角度から検討してきたが、今回がその最終回となる。夜行列車が次々と廃止されたなかで、
「その需要は再び戻るのか」
「夜間の線路や架線の保守を妨げても運行する価値があるのか」
「ブルートレイン用の客車が廃車になったのに、新たに製造する意味があるのか」
など、厳しい意見も理解できる。
一方、夜行列車には鉄道ニーズの拡大に寄与する可能性もある。既存の車両を活用し、コストを最小限に抑える方法がないか検討する余地がある。ゼロかイチで判断するのではなく、需要が見込まれる区間で試験的に運行してみるという建設的な意見も多く寄せられた。
物事の捉え方は人それぞれだが、筆者はまず試してみるという姿勢を取っている。コストの問題は認識しているが、小規模な実験を積み重ね、検証と評価を行いながら夜行列車の可能性を探るべきだと考える。