夜行列車の復活は「銀河モデル」にアリ? 昼夜兼用タイプがカギ? 高乗車率95%のワケ、多様性時代の鉄道戦略を考える【連載】夜行列車現実論(7)

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夜行列車の復活に向けた議論は続くなか、JR西日本の「WEST EXPRESS銀河」が示す成功事例が注目されている。モジュール性の高い車両デザインや、観光需要に応じた柔軟な運行は、需要の再生可能性を証明。2024年9月には和歌山県紀南コースの運行を終え、乗車率95%を記録するなど、夜行列車の未来に一筋の光を灯す。

夜行・昼行車両の人気実証

新宮駅(画像:写真AC)
新宮駅(画像:写真AC)

 WEST EXPRESS銀河は、2024年9月末に4年目となる和歌山県紀南コース(京都~新宮間)の運行を終え、今期の乗車数は約3200人、乗車率は過去最高の約95%に達した。

 このコースは、京都駅発が夜行、新宮駅(和歌山県新宮市)発が昼行という運行形態であり、昼ののんびりとした移動と夜間の移動を兼ね備えたインテリアデザインが人気を集めている。

 2020年から2021年にかけては、抽選方式での倍率が53倍に達したこともあり(京都と出雲市の運行での倍率)、話題性が高いことが伺える。低くても7倍から8倍の倍率で、夜行運転にも一定の需要が見込まれている。現在では、JR西日本のインターネット予約「e5489」や全国の駅のみどりの窓口、旅行会社窓口などでチケットが販売されているが、いずれも早期に完売している。

 ここで注目すべきは、JR西日本が「気軽に乗りたい」と思わせる夜行・昼行共用の車両を導入し、夜行列車でも高い人気を得ているという事実である。これこそ、夜行列車実現の3要件を満たすロールモデルといえるのが、WEST EXPRESS銀河である。

 さらに、ロールモデルの応用を考えることも重要だ。現在提供されているプレミアルーム、ファーストシート、クシェット、ファミリーキャビンなどの座席は、いずれもひとつのボックスとして考えられる。通常の座席も含め、これら五つの形態を基軸に、路線ごとに足し算・引き算をして利用者のTPOに合わせた編成に仕立てやすい。モジュール性に優れたこの設計は、非常に参考になる部分が大きい。

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