JAL vs ANA、ファーストクラス「至高の酒」対決? 森伊蔵、村尾…ファーストクラス採用の意味とは何か? ブランド論から考える
「森伊蔵」JAL機内販売で生きる希少価値

なかには、数年以上ファーストクラスのドリンクメニューに採用され続けているブランドもある。その代表的なものが、高級芋焼酎の
・森伊蔵
・村尾
だ。これらは「魔王」とともに、鹿児島県産の高級芋焼酎「3M」として名高いブランドで、航空会社との関係が非常に深い。
まず、森伊蔵を紹介しよう。1988(昭和63)年以来、かめ壺仕込みの伝統的な醸造方法を守りつつ、紫外線を遮る茶色いボトルを採用するなど、品質保持のための画期的な手法を取り入れた森伊蔵は、瞬く間に焼酎ファンの人気を集めた。1996(平成8)年には、フランス大統領ジャック・シラクが愛用していたことが明らかになり、その人気は全国に広がった。しかし、森伊蔵は品質にこだわるため、生産量は創業時の4石(約720ml)かめ壺50個分にとどまり、増産は一切行われていない。そのため、需要に対して供給が全く足りず、定価で購入しようとする場合、わざわざ森伊蔵酒造に電話をかけ、場合によっては抽選に参加する必要があるほど、入手困難であることでも有名だ。
この森伊蔵と深い関係を持っているのがJALで、ファーストクラスのドリンクメニューとして長年提供されているほか、JALの国際線ファーストクラス・ビジネスクラスの機内販売でも限定品を含むラインナップが用意されている。機内販売の歴史は1999年にさかのぼり、2025年で26年目を迎える。入れ替わりの激しい機内販売メニューのなかでは、大手メーカー製以外でこれほど長く続いている例は珍しい。720ml入りのボトルは機内で約3200円で販売されており、定価で購入できる唯一の場所となっている。このボトルは、Amazonで検索すると1本1万円以上で販売されており、いかにお得かがわかるだろう。しかし、こちらも期間・数量限定で、JALの機内販売で非常に人気のある商品であるため、なかなか手に入れるのは難しい。
JALが森伊蔵を採用した理由は明らかにはされていないが、2024年には森伊蔵の機内販売25周年を記念した動画がJALの公式YouTubeチャンネルにアップされ、その深い関係がうかがえる。JALにとって、最高の顧客体験を支える要素として、森伊蔵の高品質さを世界にアピールするうえで、お互いにとって欠かせない存在となっている。