JAL vs ANA、ファーストクラス「至高の酒」対決? 森伊蔵、村尾…ファーストクラス採用の意味とは何か? ブランド論から考える

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ファーストクラスで採用される飲み物ブランドは、その品質と希少性が証明されている。長年にわたり高い評価を受けるブランドは少なく、森伊蔵や村尾などは単なる飲み物にとどまらず、顧客のブランドロイヤルティを高める要素としても機能している。

ブランド価値と「ファーストクラス」戦略

デイビッド・A・アーカー『ブランド論---無形の差別化を作る20の基本原則』(画像:ダイヤモンド社)
デイビッド・A・アーカー『ブランド論—無形の差別化を作る20の基本原則』(画像:ダイヤモンド社)

 まずファーストクラス採用という言葉のブランドにおける意味を考えてみよう。

 ブランド価値を分類するフレームワークとして有名なのが、デイビッド・A・アーカー氏が提唱した「ブランド・エクイティ」の考え方だ。同氏は著書のなかで、ブランド価値を以下の五つの要素に分けている。

1.認知:よく知っているかどうか
2.知覚品質:その製品の品質が高いか
3.ブランド・ロイヤルティ:リピーターが多いか
4.ブランド連想:そのブランドからどのような連想ができるか
5.名前、シンボル、スローガン:トレードマークや名前がその製品にふさわしいか

 次に、「ファーストクラスに採用される」というマーケティング戦略について考えてみよう。まず、ファーストクラスは高級で高品質というイメージが強いため、そこで採用されることをアピールすれば消費者はその製品を優れたものと認識しやすく、

「ブランド連想」

の観点でもプラスに働く。また、「知覚品質」においてもプラスに作用するだろう。特に、JALやANAなどの日本の航空会社では、航空会社専属のシェフやソムリエが在籍し、プロの視点から飲み物を厳選している。

 ファーストクラスとなると、各社はPRも兼ねて非常に熱心に取り組む。そのため、ファーストクラスに採用されたということは高品質を保証する役割を果たし、私たちにその品質の高さを強く印象づける。

 しかし、ファーストクラスの飲み物は、機内食と同様に半年ごとに入れ替わり、2~3年も経つとほとんどのラインナップが変わることも珍しくない。そのため、ファーストクラスに採用されたからといってブランド・ロイヤルティが高まり、富裕層の顧客を獲得できるとは限らない。

 つまり、飲み物ブランドの成功にはファーストクラス採用だけでなく、さまざまなマーケティング戦略を駆使して拡大していく必要がある。

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