「ひとりの女子高生のために駅を残した」 JR北海道の決断は本当に美談だったのか? 旧白滝駅2016年廃止が問いかける、地方鉄道の持続可能性とは

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北海道の旧白滝駅は、ひとりの女子高生のために存続したという感動的な話で注目を浴びた。しかし、廃止後の現実を考えると、この判断が本当に適切だったのか疑問が浮かぶ。地域交通の持続可能性や他の選択肢が十分に検討されていたのか、長期的な視点での議論が必要だ。

廃止の背景にある問題

石北本線(画像:写真AC)
石北本線(画像:写真AC)

 2016年3月、北海道の北東部、オホーツク管内の内陸部のほぼ中央にある遠軽町の旧白滝駅が廃止された。この駅は、ひとりの女子高生が利用するためだけに存続が決まったが、彼女が卒業するとともにその役目を終えた。

「たったひとりのために駅を残した」

という話は、美談として国内外のメディアに大きく取り上げられた。しかし、この出来事を単に「温かい配慮の象徴」として片付けてよいのだろうか。

 旧白滝駅の存続決定には、鉄道事業のあり方や地域社会の構造が影響しており、その背景には複雑な要素が絡んでいる。この事例を掘り下げることで、その本質的な問題に迫りたい。

存続の背景にある地域の現実

 旧白滝駅は、JR北海道・石北本線の無人駅として長年利用されてきた。かつては周辺に集落が存在していたが、過疎化が進んだ結果、利用者は減少。2001(平成13)年には定期列車の停車が朝夕の2本に削減され、ほぼ通学用の駅となっていた。

 この駅が全国的に注目されたのは、2015年に報じられた女子高生ひとりだけが利用する駅という話題だった。JR北海道はこの駅をすぐに廃止するのではなく、利用者である女子高生が高校を卒業するまで維持することを決めた。

 確かに、この判断には地域住民や利用者への配慮があった。しかし、果たしてそれは単なる「美談」として語られるべき話だったのだろうか。

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