断じて“割り込み”じゃない! 「ファスナー合流」賛否両論、ドイツで常識なのに、日本でなかなか根付かないワケ

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渋滞緩和の新たな切り札「ファスナー合流」。経済的効果や燃費向上が期待される一方、ドライバーの心理的障壁や認知度の低さが課題となっている。国際的に導入が進むこの手法、果たして日本でも浸透するのか。

渋滞悪化を招く心理要因

ファスナー合流はドライバーにとって心理的に受け入れがたいものだ(画像:写真AC)
ファスナー合流はドライバーにとって心理的に受け入れがたいものだ(画像:写真AC)

 ファスナー合流には否定的な意見も少なくない。その背景には、

・運転者の心理的特性
・認知度の低さ
・状況判断の難しさ

がある。運転中は「譲りたくない」「先に行きたい」という心理が働くことがある。ファスナー合流では、合流車線をギリギリまで使って本線に入るため、本線側のドライバーにとっては「自分が先に進むべきなのに、合流車が割り込んできた」という感覚になりやすい。こうした心理的な抵抗感が、ファスナー合流の受け入れを難しくしている。

 また、ファスナー合流という概念自体が十分に浸透していない。知っている人と知らない人が混在しており、実践するかどうかが個々の認識に委ねられているのが現状だ。このばらつきが渋滞を悪化させる要因のひとつになっている。道路管理者による周知不足に加え、ドライバー自身の関心の低さも影響している。高速道路のサービスエリアや電光掲示板などで、ファスナー合流の案内をもっと強化すべきではないだろうか。

 さらに、ファスナー合流を適用すべき状況の判断が難しいという問題もある。本線や合流車線のどちらか、あるいは両方が渋滞している場合に効果的だが、その見極めはドライバー個人の判断に委ねられている。例えば、合流地点を過ぎた直後に渋滞が解消されるようなケースでは、ファスナー合流の効果は限定的で、むしろスムーズな流れを優先すべき場面もある。

 日頃から交通状況を確認し、実際の走行経験を積むことで、渋滞の具合を適切に判断する力を養うことが求められる。ファスナー合流の有効性を理解し、適切な場面で活用できるドライバーが増えれば、渋滞緩和や交通の円滑化につながるはずだ。

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