断じて“割り込み”じゃない! 「ファスナー合流」賛否両論、ドイツで常識なのに、日本でなかなか根付かないワケ
渋滞緩和の新たな切り札「ファスナー合流」。経済的効果や燃費向上が期待される一方、ドライバーの心理的障壁や認知度の低さが課題となっている。国際的に導入が進むこの手法、果たして日本でも浸透するのか。
燃費改善とCO2削減の切り札

ファスナー合流が推奨される理由はいくつかある。
まず、渋滞緩和による所要時間の短縮と生産性向上が挙げられる。ファスナー合流は、最も効率的な合流方法のひとつとされており、スムーズな交通の流れを確保できる。本線と合流車両が交互に譲り合うことで、合流のタイミングが明確になり、無駄な停滞を防げる。これにより、ドライバーの負担が軽減されるだけでなく、物流や観光の所要時間短縮につながり、経済的なメリットも大きい。
次に、燃費向上と環境負荷の低減が期待できる。車の燃費を最適化するには、停止と発進を繰り返さず、一定速度で走行し続けることが重要だ。そのため、信号のある一般道よりも、高速道路のようにノンストップで走行できる環境が望ましい。渋滞が発生すると、頻繁な停止・発進によって燃費が悪化するが、ファスナー合流を徹底すれば、その回数を減らせる。結果として、燃料消費が抑えられ、経済的負担が軽くなるだけでなく、環境負荷の軽減にも貢献できる。
さらに、道路整備費の最適化にも寄与する。日本では渋滞対策として、新たな道路の建設や拡張が進められている。しかし、なかには
「本当に必要なのか」
「他に優先すべき整備があるのではないか」
と疑問を抱くケースも少なくない。ファスナー合流が普及し、渋滞が緩和されれば、大規模な道路整備の必要性も見直され、より効果的なインフラ投資が可能になる。