「容姿端麗」「愛嬌あり」 キャビンアテンダントの“女性らしさ”はなぜ長年「商品化」されてきたのか? フジテレビ女子アナ問題を通して考える! もはやアイドル化の指摘も
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「理想の女性像」を演出するメディア戦略

この「商品化」は、1990年代後半になるとさらに加速する。例えば1996(平成8)年、フジテレビは女性アナウンサー17人による音楽アルバム『才色兼備』を発売。若手4人のユニットを結成し、「Knock Me!」でCDデビューまで果たした。この頃には、女子アナをアイドルの新たな形として特集する雑誌や書籍が次々と刊行されている。各局のスター女子アナがグラビアに登場し、タレント扱いされる状況は、もはやアナウンサーという職業の本質から大きく逸脱していた。
これは、制服や接客を通じて「手の届きそうで届かない」理想の女性像を演出し、カレンダーやグラビアで「理想像」を商品化していたCAと同様の構造だった。どちらの職種も、専門性よりも「若さ」や「愛らしさ」が重視される時代だった。
この商品価値を最も象徴的に示したのが、1990年代の「シンデレラストーリー」報道だった。1990年から1998年にかけて、女子アナの「華やかな結婚」が相次いだ。
・赤間裕子(東京放送)
・木場弘子(TBS)
・河野景子(フジ)
・中井美穂(フジ)
・田口恵美子(東京放送)
など、多くが野球選手や芸能人との結婚を機に退社している。
CAの世界でも同じ傾向が見られた。1993年、横浜の秋元宏作捕手とJALのCAの結婚披露宴は
「プロ野球選手とスチュワーデスの夢の組み合わせ」
として報道された。翌1994年には、大関若ノ花とJALのCA・栗尾美恵子の熱愛が報じられ、栗尾は
「モデル時代からの美人スチュワーデス」
「日航カレンダーのモデル」
として紹介された。
これらの報道に共通するのは、結婚を「おとぎ話」のように演出する視点だ。プロ野球選手や力士という「男性的職業」のスターと、女子アナやCAという「女性的職業」のエリートの結婚は、理想の組み合わせとして持て囃された。
しかし、その裏では
「結婚退社」
が当然視され、長期的なキャリア形成は阻害されていった。男女雇用機会均等法の施行後も、両職種は「見られる存在」という特殊な位置づけから抜け出せずにいた。