「容姿端麗」「愛嬌あり」 キャビンアテンダントの“女性らしさ”はなぜ長年「商品化」されてきたのか? フジテレビ女子アナ問題を通して考える! もはやアイドル化の指摘も

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戦後、日本社会は女性の職業を「商品」として扱い続けてきた。特にCAや女子アナは「企業の顔」として消費され、特に90年代以降、若さとルックスが価値の中心となった。しかし、近年はこの構造に変化の兆しも見える。例えば、フジテレビの女子アナ採用を巡る問題は、単なる一企業の課題ではなく、メディア業界全体の構造的問題を浮き彫りにする。今、女性のキャリアは本当に「商品」から解放されつつあるのか──。

「若さ」を消費する職業の実態

女性アナウンサーのイメージ(画像:写真AC)
女性アナウンサーのイメージ(画像:写真AC)

 CAの商品価値は、その後も形を変えながら維持されていった。

 1987(昭和62)年、JALの機内誌『WINDS』が「第500期スチュワーデス特集」を掲載した際、発行部数49万部(国際線25万、国内線18万、定期購読6万)を誇る同誌は

「本を持ち帰る乗客が多く、月半ばで品切れになる」

という事態に陥った。同年、JALの出版関連事業(ガイドブックやカレンダー)は5億円規模に達していた。毎年発売されるCAをモデルにしたカレンダーの存在は、この職業の商品価値を端的に示している。

 そんなCAに続いて「商品化」できる職業として注目されたのが、女性アナウンサーだった。戦前のラジオ時代から存在した職業だが、1980年代までは「女性アナウンサー」と呼ばれるのが一般的だった。しかし、1980年代に入ると、彼女たちをアイドルや番組の広告塔として活用しようとする動きが活発化。次第に「女子アナ」という略称が定着し、CAと並ぶ「憧れの職業」へと変貌していった。

 当時の女性アナウンサーの商品化の実態を示す記事が『朝日新聞』1990年11月20日夕刊に掲載されている。フジテレビの局アナだった有賀さつき氏の証言を引用する。

「職場であるフジテレビのアナウンス部のことを、「悪く言っちゃうと、置き屋みたい」。涼しい顔で、言ってのける。「だって、お呼びがかからないと、みじめというか。制作サイドは、若い子から使っていきますからね。年とったら、おしまいだ、というようなところがあるんです」「女性アナって、寿命が非常に短いんですよね。新人のころから、先輩をずっと観察していたんです。どう考えても、入って3年の間に芽がでないと、花開くことは難しい」今年がその3年目。現在、「上岡龍太郎にはダマされないぞ!」など、週に3本のレギュラー番組を抱える。18人いる同局の女性アナの中で、バラエティー番組に限れば、業界用語でいうところの「露出度」がナンバーワン。アナとして絶頂期といえるだろう。といって、失礼な言い方だが、番組の進め方が、際立って鮮やか、というわけではない。逆に、番組を見学に来た女の子のような、シロウトさん的キャラクターが時代にマッチし、人気を集めている。「上司に言われるんです。君は『生まれっぱなし』がウリで使っているんだから、アナと思わなくていい。感じたことを言いなさいって」」

この証言からも、女性アナウンサーが放送の専門職というより「商品」として扱われていた実態が浮かび上がる。

「3年で芽が出ない」
「若い子から使う」

という表現からは、「若さ」が最大の価値とされる構造が見えてくる。

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