「軽自動車しか買えない」 年収400万円時代の高すぎる自動車価格… 庶民の嘆きに自動車メーカーはどう応える?

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2024年の家計調査によると、消費者の負担が続く中、手に入れやすい車は軽自動車に限られ、選択肢が狭まっている。自動車メーカーは高価格帯へシフトし、庶民のニーズにどう応えるべきかが問われる。価格上昇の背景には安全基準や環境規制、半導体不足などがあり、メーカーの戦略が今後の市場を左右する。

消失する中間層車種

軽自動車(画像:写真AC)
軽自動車(画像:写真AC)

 価格の上昇が避けられない状況においても、かつてのような手頃な1500ccクラスの「庶民のクルマ」を作ることができるのか。この問題のカギを握るのは、自動車メーカーの戦略の変化である。

 まず、メーカーは利益率の向上を優先するようになった。かつては、大衆車を大量に販売することで利益を確保していた。しかし、少子高齢化にともなう市場規模の縮小により、単価を上げなければ利益を確保できない状況が生まれた。その結果、メーカーは「薄利多売」から「高付加価値化」へと舵を切り、1台あたりの利益率を重視する方向に転換した。

 次に、かつて存在した「大衆車」と呼ばれる中間層向けの車種が消えつつある。軽自動車と高級車の間にあったこの層は、現在では軽自動車とプレミアムモデルに二極化している。この傾向は、日本市場だけでなく、欧州や北米でも見られる。

 最後に、日本では軽自動車に対する税制優遇が強く、中間層の消費者は普通車ではなく軽自動車を選ばざるを得ない状況にある。これにより、メーカーは軽自動車のラインナップを充実させることとなり、「事実上の選択肢固定化」が進んでいる。

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