「軽自動車しか買えない」 年収400万円時代の高すぎる自動車価格… 庶民の嘆きに自動車メーカーはどう応える?
2024年の家計調査によると、消費者の負担が続く中、手に入れやすい車は軽自動車に限られ、選択肢が狭まっている。自動車メーカーは高価格帯へシフトし、庶民のニーズにどう応えるべきかが問われる。価格上昇の背景には安全基準や環境規制、半導体不足などがあり、メーカーの戦略が今後の市場を左右する。
価格上昇を加速する規制強化
自動車価格の上昇にはいくつかの要因がある。
まず、安全基準や環境規制の強化が挙げられる。近年、世界的に安全性能や環境規制が厳格化しており、特に衝突安全性能の向上や電動化の推進、排ガス規制の強化が影響を与えている。例えば、日本では衝突被害軽減ブレーキ(AEB)の標準装備義務化や排ガス規制の強化が進行中であり、これらの規制に対応するための開発コストや製造コストが車両価格の上昇を招いている。
次に、半導体不足や原材料の価格高騰がある。半導体の供給は以前のようなピークを過ぎたものの、依然として自動車向け部品の供給は不安定だ。また、電動化の進展にともない、リチウムやニッケルといった希少金属の需要が急増している。この原材料の価格上昇も、車両価格を押し上げる要因となっている。
さらに、開発費の増大と高付加価値化が影響している。自動車メーカーは、電動化や自動運転、コネクテッド技術などの新技術の開発に巨額の投資を行っており、これがコストを押し上げている。
特に、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)は、内燃機関車に比べてバッテリーや電子制御システムのコストが高いため、その価格にも反映されやすい。また、メーカーは利益率の向上を目指して、より高価格帯のSUVやプレミアムモデルへの注力を強化しており、これも価格上昇の一因となっている。