映画『私をスキーに連れてって』はなぜ社会現象になったのか? スキーブームの火付け役! 原田知世とセリカGT-FOURがマジGood! 公開38年で考える
1987年公開の『私をスキーに連れてって』は、興行収入20億円超を記録し、スキー人口1,800万人時代を象徴する作品となった。しかし、その魅力は単なるバブルの遺産ではない。本作が映し出したのは、「移動がもたらす高揚感」だ。セリカGT-FOURで駆け抜ける雪道、都市と非日常を結ぶ移動の魔法――。それから38年、私たちは「遠くへ行くこと」の価値を、どこまで覚えているだろうか。
バブル期の風と「移動」の魔法

今から38年前、1987(昭和62)年11月に公開された映画『私をスキーに連れてって』は、日本映画史において特異な成功を収めた作品だ。主演の三上博史と原田知世(マジ天使!)が演じる若者たちが、スキーを通じて恋と青春を謳歌するストーリーは、多くの観客の心をつかみ、映画そのものが社会現象へと発展した。スキーブームの火付け役である。
公開後、スキー場には若者たちが殺到し、スキー用品の売り上げが急増。スキーウェアブランド「フェニックス」や、劇中に登場した
「トヨタ・セリカGT-FOUR(ST165型)」
の人気も高まり、スキー場へ向かう高速道路や鉄道は繁忙期の混雑を極めた。
しかし、この映画のヒットを「時代の空気」による一過性のブームと片付けるのは適切ではない。なぜ『私をスキーに連れてって』はこれほどまでに人々の心を捉えたのか。その理由を明らかにするため、当時の社会背景と「移動」の視点から分析する。