映画『私をスキーに連れてって』はなぜ社会現象になったのか? スキーブームの火付け役! 原田知世とセリカGT-FOURがマジGood! 公開38年で考える
1987年公開の『私をスキーに連れてって』は、興行収入20億円超を記録し、スキー人口1,800万人時代を象徴する作品となった。しかし、その魅力は単なるバブルの遺産ではない。本作が映し出したのは、「移動がもたらす高揚感」だ。セリカGT-FOURで駆け抜ける雪道、都市と非日常を結ぶ移動の魔法――。それから38年、私たちは「遠くへ行くこと」の価値を、どこまで覚えているだろうか。
クルマが変えた都市とレジャーの境界

この映画が描いたのは、スキーの楽しさだけではなく、「移動することの喜び」そのものだった。
主人公たちは都会のオフィスを飛び出し、スキー板を積んだクルマで白銀の世界へと向かう。雪道を駆け抜けるセリカGT-FOURの疾走感、車内での会話、予期せぬトラブル――そのすべてが「日常を離れ、新たな世界へ踏み出す高揚感」に満ちていた。
スキー旅行は、単なるレジャーではなく、都市の生活から一時的に解放される「儀式」でもあった。都会でのスーツ姿とスキー場でのカジュアルなウェアの対比、職場の上下関係から男女としての関係へと変化する人間模様。これらは「移動することがもたらす変化」を象徴している。
この映画はまた、クルマを単なる移動手段ではなく、「自由を手に入れるための道具」として描いた。セリカGT-FOURは雪道を力強く駆け抜け、主人公たちを都会から非日常へと導く。その姿は、多くの観客に「クルマを持つこと」の夢を抱かせた。