映画『私をスキーに連れてって』はなぜ社会現象になったのか? スキーブームの火付け役! 原田知世とセリカGT-FOURがマジGood! 公開38年で考える

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1987年公開の『私をスキーに連れてって』は、興行収入20億円超を記録し、スキー人口1,800万人時代を象徴する作品となった。しかし、その魅力は単なるバブルの遺産ではない。本作が映し出したのは、「移動がもたらす高揚感」だ。セリカGT-FOURで駆け抜ける雪道、都市と非日常を結ぶ移動の魔法――。それから38年、私たちは「遠くへ行くこと」の価値を、どこまで覚えているだろうか。

スキーと都市生活の交差点

トヨタ・セリカGT-FOUR(ST165型)(画像:FotoSleuth)
トヨタ・セリカGT-FOUR(ST165型)(画像:FotoSleuth)

 1980年代後半、日本は空前の好景気に沸いていた。バブル経済の影響で消費意欲が高まり、ブランド品や高級車、海外旅行といった「贅沢なライフスタイル」への憧れが広がっていた。

 この時代、人々は単なる移動ではなく、「動くこと」そのものに価値を見出していた。都市から地方へ、日本から海外へと足を延ばすことが、移動手段を超えたステータスシンボルとなりつつあった。

 スキーもその流れに乗った。新幹線や高速道路の整備が進み、都市部からスキー場へのアクセスが飛躍的に向上。特に関東圏の若者にとって、新潟や長野のスキー場は

「日帰りで行ける非日常」

となった。週末ごとにスキー場へ通うライフスタイルが都会の若者の間で急速に広がり、アクティブな生き方の象徴となっていった。

 こうした「移動を楽しむ文化」の隆盛が、『私をスキーに連れてって』のヒットを後押ししたのは間違いない。しかし、それだけではない。この映画には、より本質的な魅力があった。

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