トヨタの24年世界販売「3.7%減」も、全然低迷ではない? 「台数至上主義」を超えた新たな幕開け? 新たな競争軸を熟考する

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トヨタ自動車は2024年、前年比3.7%減の1082万台を記録し、5年連続で世界販売首位を維持。中国市場での競争激化や認証不正問題が影響を与えたが、単なる販売台数減少に留まらず、収益性やブランド戦略の転換を示唆する重要な転換点となっている。

収益性重視の販売減少の真意

2022年10月31日撮影、東京都内の自動車ショールームに掲げられたトヨタのロゴマーク(画像:AFP=時事)
2022年10月31日撮影、東京都内の自動車ショールームに掲げられたトヨタのロゴマーク(画像:AFP=時事)

 2024年、トヨタ自動車のグループ世界販売台数は前年比3.7%減の1082万1480台となった。ドイツのフォルクスワーゲン(VW、902万7400台)に大差をつけ、5年連続で世界販売首位を維持したが、認証不正問題や中国市場での競争激化の影響を受け、前年を下回った。

 この「3.7%減」は、一見すると販売台数の減少として捉えられがちだ。しかし、果たしてこれは単なる

「マイナス」

といえるのだろうか。トヨタは本当に販売台数の維持・拡大を至上命題としているのだろうか? もし、より高い収益性を追求し、販売戦略を見直した結果としてこの減少が生じたのであれば、この現象は

「転換点」

として捉えるべきではないか。本稿では、従来の

「販売台数 = 企業の競争力」

という固定観念を超え、トヨタの販売減少が示す本質的な変化を掘り下げていく。

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