高級志向の航空会社はなぜ破綻するのか? 「豪華サービス = 良い」という壮大な勘違い、顧客ニーズとの大ギャップを考える
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航空業界において「サービスが優れている」とは、豪華さだけでなく、適切なターゲット市場への配慮、価格設定、そして広範な路線網のバランスが必要不可欠だ。競争の激化と新興国航空会社の台頭により、従来の高級志向だけでなく、広範な市場に適応した戦略が求められている。
長距離路線で認知度拡大が必要

各ケースごとに考察すると、以下のようになる。
「ケース1」のビジネスクラス限定については、確かに収益性の高いクラスではあるものの、不況時には利用者が減少することが多く、欠席分は丸々コストとして計上されてしまう。また、好況時でも利用してもらうのは容易ではない。ビジネスクラスを利用する顧客はマイレージや自家用ジェットなどで頻繁に利用する航空会社があるため、新たにビジネスクラス専用の会社を立ち上げても利用は限られるだろう。
「ケース2」のトランプ・シャトルやニューヨークエアの戦略については、シャトル便を皮切りに長距離路線を増やすことで認知度を高める戦略が必要であったといえる。例えば、ロンドンや東京といった主要都市への路線拡大を進めるべきだった。
「ケース3」については、サービスだけでなく価格設定やそれを支えるコスト構造、広範な路線網に力を入れるべきであった。エア・ベルリンやヴァージン・アメリカと同様の企業は米国のジェットブルーが挙げられ、同社は東海岸を中心にネットワークを拡大し、多くの顧客に知られるブランドとして成功を収めている。対照的に、ケースで挙げた2社は路線網が競合LCCに比べて狭く、多くの利用者に支持されるには不十分であった。
さらに、サービス差別化にも限界がある。航空機は鉄道や船に比べてスペースが制約されており、安全運航の観点から座席を基本としたサービス提供に限られている。そのため、機内食や一部のエンタメ要素以外では差別化が難しいといえるだろう。
その一方で、大型機に立ちスペースを設ける試みも存在する。総二階建ての旅客機・エアバスA380では、シャワールームや免税店、バー、ラウンジなどを設置することが可能だったが、乱気流などによる安全性の懸念から採用例は限られている。