高級志向の航空会社はなぜ破綻するのか? 「豪華サービス = 良い」という壮大な勘違い、顧客ニーズとの大ギャップを考える

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航空業界において「サービスが優れている」とは、豪華さだけでなく、適切なターゲット市場への配慮、価格設定、そして広範な路線網のバランスが必要不可欠だ。競争の激化と新興国航空会社の台頭により、従来の高級志向だけでなく、広範な市場に適応した戦略が求められている。

競争力を失う過剰差別化

STP分析(画像:リコー)
STP分析(画像:リコー)

 マーケティング理論には「STP分析」という概念がある。

・戦うべき領域を決める(Segmentation)
・どの顧客層に焦点を当てるかを選ぶ(Targeting)
・その市場内でどのポジションに位置するべきかを定義する(Positioning)

これにより、ブランドが効率的に成長し差別化を図る重要な手法となる。しかし、マーケティングの専門家からは、成長しているブランドは

「STPのロジックで成長しているわけではなく、あらゆるセグメントから新規獲得して成長する。そのためには多くのセグメントに属する顧客から最低限想起されるブランドでなければならない」

との意見も出始めている。差別化を追求していくと、狙う市場が狭まり、顧客数や売り上げも減少してしまうという考え方だ。航空業界で例えると、

・ビジネスクラス限定
・豪華な機内食やエンタメ

などの差別化要素を全面に押し出すより、適度な価格設定や広範な路線網、運航頻度といった要素が、乗客に「この航空会社を利用する」と思わせる要素となる。

 本稿で紹介した会社も、競争のなかでサービス差別化ばかりに注力し、肝心の航空会社として選ばれる要素を軽視する結果、売り上げが伸び悩み衰退してしまったといえるだろう。

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