近鉄けいはんな線の延伸「凍結状態」 開業から既に約20年! 利用者から「移動が不便」の声、夢洲延伸・リニア計画で状況は変わるのか

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大阪府と関西文化学術研究都市を結ぶ近鉄けいはんな線が開業してから約20年が経つ。しかし、延伸計画は現在、凍結状態だ。それでも、京都府と関係する3市町が地域公共交通計画にこの延伸を盛り込み、地域の活性化に向けて推進しようとしている。

京都府と3市町が地域公共交通計画に盛り込みへ

木津川市がけいはんな線延伸を期待する近鉄高の原駅(画像:高田泰)
木津川市がけいはんな線延伸を期待する近鉄高の原駅(画像:高田泰)

 そんななか、精華町は延伸実現に向け、積極的に動いている。新線の基礎調査を2018年度、新祝園ルート延伸事業化調査を2020年度、新祝園ルート延伸整備効果研究調査を2023年度に公表、新祝園ルートの優位性を訴えて早期整備を求めてきた。

 新祝園ルートが実現すれば町が活気づくだけでなく、学研都市内の交通利便性が高まり、京都市と夢洲を結ぶ直通列車が可能になって関西全体に波及効果を期待できるとしている。精華町企画調整課は

「学研都市の活性化には早期延伸が必要」

と力を込める。京都府と精華町、木津川市、京田辺市は2024年末、学研都市京都府域地域公共交通計画の中間案をまとめ、けいはんな線延伸に向けた事業化調査や機運醸成活動を盛り込んだ。期間は2025年度から10年間。募集中のパブリックコメントも参考にし、3月末までに計画を策定する方針だ。

 精華町の南に位置する木津川市は市西部住民の利用が多い高の原駅への延伸に期待している。このため、中間案では新祝園ルートか、高の原ルートかについて触れていないが、木津川市学研企画課は

「学研都市の鉄道整備は一向に進んでいない。早急に対応する必要がある」

としている。学研都市京都府域では、北陸新幹線小~京都ルートが実現すれば、新駅が京田辺市付近に設置されるほか、リニア中央新幹線の大阪延伸で南隣の奈良市付近が新駅候補に挙げられている。今後の進展次第でけいはんな線延伸に追い風が吹く可能性がある。

 しかし、増加を続けてきた精華町や木津川市の人口は今後、減少に転じる見込み。学研都市文化学術研究地区の人口も計画人口の6割足らずにとどまったままで、採算面の不安がつきまとう。新祝園ルートと高の原ルートの選択も頭の痛い問題だ。延伸実現に乗り越えなければならないハードルは高い。

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