近鉄けいはんな線の延伸「凍結状態」 開業から既に約20年! 利用者から「移動が不便」の声、夢洲延伸・リニア計画で状況は変わるのか

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大阪府と関西文化学術研究都市を結ぶ近鉄けいはんな線が開業してから約20年が経つ。しかし、延伸計画は現在、凍結状態だ。それでも、京都府と関係する3市町が地域公共交通計画にこの延伸を盛り込み、地域の活性化に向けて推進しようとしている。

延伸ルート候補は新祝園、高の原のふたつ

新祝園駅に到着した近鉄京都線の普通列車(画像:高田泰)
新祝園駅に到着した近鉄京都線の普通列車(画像:高田泰)

 学研都市への鉄道計画は1989(平成元)年、国の運輸政策審議会が近鉄京都線の高の原駅(奈良市)までの新線整備を答申して動き始める。しかし、国土交通省近畿運輸局、奈良県、京都府、近鉄の調査で全線整備だと採算性確保が難しいことがわかった。

 これを受け、国の近畿地方交通審議会は1996年、早期事業化のため、生駒~学研奈良登美ヶ丘間の整備を答申した。残り区間については2004年の答申で中長期的に望まれる路線として高の原ルートとともに、学研都市中心部を通って新祝園駅を目指すルートを挙げている。

 だが、生駒~学研奈良登美ヶ丘間の利用者数は開業4年目の2009年で1日当たり約2万5000人。5年目の想定利用者数8万4000人の約3割にすぎなかった。他路線も通る生駒駅を除けば、2023年の1日当たり駅別乗降人員も6000~1万7000人とそれほど多くない。近鉄が同区間の累積損失を解消できていないこともあり、延伸計画は塩漬けにされてきた。

 近鉄は中央線の夢洲延伸を受け、2030年秋ごろを目指すIR開業時に夢洲と奈良、伊勢方面を結ぶ列車の運行を検討している。けいはんな線や中央線は集電用のレールを設けた第三軌条方式で電力を確保しており、架線で集電する近鉄の他路線と異なる。このため、異なる集電方式の区間を走れる車両を開発中だ。

 しかし、路線は生駒駅から奈良線などに乗り入れる形になるとみられる。近鉄の広報担当者は

「けいはんな線延伸の話はまだこちらに上がってきていない」

と述べた。

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